エンドウから抽出した植物性たん白素材
エンドウたん白の溶解性は、他のたん白と同様、等電点付近(pH4.5~4.7)で減少するものの比較的高い溶解性を示します。また、食塩共存下においても、エンドウたん白の溶解度の低下は僅かであり、広いpH域で一定の溶解性を維持します。
エンドウたん白は大豆たん白などと比較してみても乳化力に優れた蛋白素材です。乳化物の安定性にも優れ、これを用いて調製した乳化物は耐熱性、耐塩性があります。
エンドウたん白は保水性に優れたたん白であり、食塩の影響を受け難く、冷凍解凍処理に強いことが特長です。右の グラフを見ても乾燥卵白のゲルは冷凍解凍処理によりスポンジ状に固く変性し、大量のドリップを生じますが、エンドウたん白のゲルは、見かけ上の変化はほとんどありません。比較した3種類のたん白の中で、エンドウたん白は最も冷凍解凍耐性に優れていることが解かります。
※離水測定法:調製したゲルに、幅1cm×長さ11cm の濾紙を挿入し(先端の1cm を挿入)、1時間後濾紙上に示される離水距離(cm)を測定。距離が短いほど(=離水が少ないほど)、保水力に優れている。
■加熱条件:120℃×20 分
■冷凍条件:-30℃×16 時間
■解凍条件:20℃×3 時間
エンドウたん白のアミノ酸組成の分析値例を見てもわかるとおり、必須アミノ酸の一つであるリジンの含有量が、大豆たん白や小麦たん白に比べて高いことが特長です。(表中 * 印は必須アミノ酸。)その特徴を生かし、健康食品やダイエット食品などの、たん白強化素材として利用することが可能です。